2007年7月1日日曜日

スネークさん・その3

それにしてもダンスシーンがよかったな。技巧的にはどうなのかわからない。でもあの充溢感にはやられた。パーカッションの生演奏によるところも大きかったんだろうけど、ただ座って見てるだけなのにわくわくしてくる。

10名近い役者が縦横無尽に動きまわり、ひとつになりそうでなかなかならない、その豊饒さというか過剰さがよかった。で、ときおり対角線上に位置した2名の動きがぴったりシンクロする瞬間なんかは目頭が熱くなってしまった。

サイケな感じの歌がこれまたツボにはまる。たしか演出の木崎さんは『カンガルー』のアフタートークで事情が許せば音楽を入れたかったと語ってたけど、それはこんな感じだったのかなとも思う。

あと「柘榴」と「神様」の2人が緋色の裳裾をひっぱりあってグルグル回るシーン。舞台に近い低い位置から観ると遠心力のはたらくさまをモロに体感できて日常のあれやこれやから解き放たれた気分。

ダンス指導を兼ねて現代舞踊の人が参加とあったので「ガリガリに痩せてて白塗りで」みたいな先入観があったのだが、いざ観てみると最初のうち誰がそのダンサーのひとだかわからなかったくらいで(笑)、そのうち脚の上がり具合なんかから判別がついたんだけど、喫茶店の客になってちょっくら場所を空けてもらうシーンとか、いかにも青年団の役者にいそうな雰囲気の持ち主で全然違和感なかった。

役者では特に兵藤さん・川隅さんが頑張ってたなと思う。個別には「待ち合わせの時間が迫ってるのに服が上手に着れなくなっちゃった人」と「こんばんわ」が可笑しかった。川隅さんは今までいつもいい線までいきつつもノホホンとした雰囲気のためか必ずしも強烈には印象に残りにくかったんだけど、今回はもうほんと役者魂を見た思いがする。

当日プログラムによれば作・出演のツキムラさんは文化庁の新進芸術家海外留学制度でクロアチアへ渡ってしまうそうな。めでたいことではあるんだろうけど、高山植物園といい今回といい、これぞという力作をものした直後に次回作がしばらくお預けになってしまうのは一般客からするとちょっと残念ではある。