2007年12月15日土曜日

ライン

青年団若手自主企画vol.35『ライン』@アトリエ春風舎、11/3(土)夜の部。構成・演出=西村和宏、作=鈴木大介。オープニングパフォーマンスとしてホラー風の寸劇『shut in』上演あり。

主にドストエフスキーの『罪と罰』をモチーフにした10編ぐらいの短い芝居からなる公演だが、なぜか衣裳は学ランならびにセーラー服の場合が多く(笑)、ときどきかかる音楽はクレイジーケンバンドだったりする。

そんなわけで面白かったことは面白かったが、何日たってもしみじみ考えさせられるような強い印象はなかったかもしれない。公演名の「ライン」は、よく「一線を越える」とか「踏みとどまる」とか言う場合のラインのことらしい。たとえば殺人犯とそうじゃない人を隔てる、ある一線・ある一瞬。着眼点はまちがってなさそうなので、この次はふつうに起承転結なりの流れのある作品を観てみたい。

開演前のBGMがヴァネッサ・パラディだったかも。

五月の桜

二騎の会『五月の桜』@こまばアゴラ劇場、12/7(金)夜の部。作・宮森さつき、演出・多田淳之介。かなり思いきった演出。戯曲は一見地味だが芯がある。どうやったら戯曲のよさが伝わるかを真剣に考えぬいた結果ああいう演出になったんだろうと思う。

血のつながっていない姉弟(和希と一基)を評して和希の恋人(工藤)は「こちらが入りこめない同じバリアの中にいる」と言う。それもそうだがラスト近くのシーンを見てむしろ二人は鏡像関係にあったのではという印象が強い。バリアがプツンとはじける音、または鏡の割れる音。萩尾望都の「半神」をちょっと思い出した。

前半、一基が自転車で到着。しばらくして瑞希(和希の姉)が母を呼びにいく。このとき、袖に乗り捨てられていた自転車を立て直すような音がガチャガチャと聞こえてくる。自転車で迎えにいったのかな、となぜか少し気になる。でも戻ってきたタイミングは二人一緒。大人の二人乗りはきつそうだし、戻ってきたときには自転車の音はなかった。ということは最初の音は自転車を文字通り立て直しただけであり、そこからすると瑞希は意外と(?)きっちりした性格らしい。

トトロエプロンの天明さん(墓の清掃係、牧田役)がいい味出してた。牧田的な存在に対する一基/和希それぞれの反応は、和希に対する母の「人と関わるのが怖い?」という台詞と底のほうでつながっているようにも思えたが、そのへんは観る者によってちがうかもしれない。

師走

天気予報では土日とも晴れときどき曇りとなってるが、さっき窓の外でパラパラとみぞれみたいな音がした。

明治神宮の池にマガモか何かがいて、ぴったり垂直に水に潜って餌をあさる姿(いわゆる犬神家のスケキヨ体勢)と、潜ってないときの頭の部分の混じりけのない緑色(それもいわゆるビロードのような色つや)にしばし見とれる。