asahi.comの記事「会見の最後、首相怒り 記者質問に「あなたと違う」」によれば、辞任を表明した福田康夫首相は記者会見の最後に
「会見がひとごとのように見える」と指摘した新聞記者の質問
に対して
「ひとごとのようにとあなたはおっしゃったけどね、私は自分自身のことは客観的に見ることができるんです。あなたとは違うんです」
と怒りもあらわに答えたという。
いいねぇ。
景気後退と支持率低迷の中での退陣であってみれば「私も72ですからね。疲れましたよ。自分でも自分の言ってることがときどきわからなくなります」などとポツリともらし哀愁を漂わせながら去っていったっていいわけだ。
それを敢えてそうしなかったということは、こりゃほんとに怒ったんだなと思う。
質問した記者はもしかするといわゆる番記者というやつで、首相とは長いつきあいだったりするのかもしれない。だとしても、首相がその記者と自分の性格やら人柄を対比したうえで「あなたとは違う」と言えるほどまでに肝胆合い照らしあう仲だったとは考えにくい。
そうなると首相の怒りの発言は、「ひとごとのよう」と指摘してきた記者の、その瞬間におけるその記者のありように対して向けられたものだったにちがいない。
つまり「会見がひとごとのように見える」という指摘そのものが、いかにも紋切型で、最初から用意してあったような、会見がどんな内容であったとしても結局はそう言うつもりだったんだろうとしか思えないような、そういう類のものだったのではないかと思われてくるのだ。
「私も駄目だったけどマスコミはもっと駄目でしょ」、首相は最後にそう言い残していったのだと思う。