ロミオにならなければジュリエットには会えない。
ルミネの脇をすりぬけて今日もラムタラに向かう。
リミットはもうすぐそこまで迫ってきているのに
ラミネートの向こうに君のまぼろしを探している。
読み返すたびに今も血の気が失せてしまうけれど
弓をつがえた勇者のかたちの星座のころの只中に
闇と光が溶けあって無に帰すのならそれでもいい。
揉みしだかれる優しげな乳房の白い色を忘れない。
耳もとに触れられて染まりゆく頬の色を忘れない。
真水のように柔順にすべてを赦す心根を忘れない。
踏みにじられた花びらが季節を越えて蘇るのなら
秘密も嘘もすべて抱きかかえたままでかまわない。
はみだしたからには群れに戻る気はないのだろう。
飲みこんだ言葉はおそらく数限りなくあるだろう。
寝乱れた姿のまま懊悩する夜もあったことだろう。
涙が乾くまでさまよっていてくれてもかまわない。
富も名誉もそんなものなど一切なくてかまわない。
罪深いとも後ろめたいとも思うつもりは全くない。
血みどろの荒野に耳をすまして立ちつくしてみる。
民の嘆きのはたと止む一瞬がいつの日にか訪れる。
蝉しぐれの中で伏し目がちだった睫毛をひらいて
澄みきった青空にむかって小さな胸で深呼吸して
染みついてしまったものは一度すべて洗い流して
五月雨の街中ですれちがったとしても気づかない。
混みあう電車の中で隣に立っていてもわからない。
汲みつくせないほどの幸福に浸ってくれていれば
君がいつか誰かの優しい妻になり母となるのなら
神様なんて信じていなかったけれど信じてもいい。
御身大切に、こればかりは字余りでも言っておく。
笑みくずれたときの目尻も唇も何もかもが好きだ。
海のようにすべてを受け入れる君のことが好きだ。
意味もなく行く宛も知らず今はただ君の名を呼ぶ、